ジーニーは10日、屋外のデジタルサイネージ(DOOH)に接触したユーザーをWeb上でリターゲティング配信できる機能を発表した。これはリテールメディアとは呼ばないが、リテールメディアの今後にも影響する、大変興味深い取り組みである。


ジーニーの魔法のランプ?
デジタルサイネージとWeb広告の連携はアドテク業界が長年夢見てきたものだが、技術的なハードルが高く実現困難とされてきた。今回の発表により、ジーニーがどのようにして夢のDOOHリターゲティングを可能にしたのか注目が集まる。手法については同社へ問い合わせ中であり、返答があり次第追記予定だ。
考えられる方法としては、デジタルサイネージに埋め込まれたBeaconを活用して近接したユーザーIDを取得して後日Web広告を配信する仕組みや、スマートフォンの位置情報と時間データを基に看板前にいたユーザーを推測する方法などが挙げられる。しかし、まったく想定外の"ジーニーの魔法"で実現された可能性も否定できない。
リテールメディアへ応用できる可能性
今回の発表はリテールメディアの範疇には入らないかもしれないが、デジタルサイネージ広告の新たな可能性を示唆するものとして注目される。リテールメディアにおいて店舗内のサイネージは通常、購入直前の顧客に自社商品を手にとってもらうことが主目的だが、この技術を活用すれば一旦家に持ち帰ってじっくり比較・検討する高額商品やノンエンデミック広告でも効果的なアプローチが可能になるかもしれない。
一般的に言われる「O2O」は "Online to Offline" であり、Webから店舗へと集客するものだった。一方で今回のジーニーの取り組みのように、デジタルサイネージの後追いでWeb広告のアプローチするということは、逆の "Offline to Online" なのである。数年前にはオンラインとオフラインが融合した状態を指す「OMO」(Online merges with Offline)という言葉が注目を浴びたが、店頭を起点としたOMOのような施策に利用できる可能性も出てくる。

リテールメディアの可能性を広げるとも言えるこの意欲的な取り組みには注目だ。
2025/3/12 追記
同社からの回答によると、やはり位置情報データをベースにしたものとのことだ。アプリで取得した位置情報から一定時間の滞在ユーザーIDを割り出し、それをブラウザのcookieに変換してWeb面でのリターゲティングを実現しているとのことだ。