「コマースメディア」が正式に定義された?
- 野口 航
- 3月31日
- 読了時間: 2分
「コマースメディア」という言葉をご存知だろうか。この度、ネット広告の標準化団体であるIAB Europeが "Commerce Media" を定義に含めた資料を公開した。
昨年6月に公開された「IAB Europe 101 Guide to Retail Media」においては "Commerce Media" は少し触れられていたに過ぎなかったが、今回公開された資料には明確に定義されている。要素を抜き出して整理したペライチがわかりやすい。
リテールメディアJAPANが解釈して日本市場に当てはめた整理は以下の通りだ。

簡単に言えば、小売企業が提供しているものが「リテールメディア」で、それ以外の企業が提供する顧客データなどを活用した広告配信を「コマースメディア」と呼ぶ、ということになるだろう。
以前から「コマースメディア」という用語は一部ベンダーが利用してきたが、日本語で一般的に「コマース」と耳にすると条件反射的に「EC」が想起されて混同されるおそれがあったので、リテールメディアJAPANではできる限り「コマースメディア」という言葉の利用を避けてきた。英語での "commerce" は商取引などを意味する言葉であり、インターネットも小売も直接的には関係のない言葉なのだ。ということで、これまでリテールメディアJAPANでは「会員制企業によるリテールメディア」などと呼んでいたが、今後は恐れることなく「コマースメディア」と呼ぶことにしよう。
日本でのコマースメディアの動きは小売業よりも早いように見える。たとえば、ANA、JR東日本、ドコモ、chocoZAP、三菱UFJ銀行、みずほ銀行などの超大手企業による取り組みがすでにローンチしている。購買モーメントとの遠さやメディア接触頻度などの点ではリテールメディアには敵わないが、ことポイント獲得に行動を突き動かされやすい日本においては、リテールメディアよりもコマースメディアの方が伸びる可能性もあるだろう。