●リテールメディアとは
ECサイトや小売アプリ、店舗内などで展開されるデジタル広告のこと。旧来からPOPやサイネージなどは存在しているが、「リテールメディア」は主にデータを活用したデジタル広告配信のことを指す。
●リテールメディアの歴史
AmazonなどのECサイトにおいてモール出店者向けの広告プログラムは以前から存在していたが、コロナ禍による米国でのオンラインショッピングの増加を受けてウォルマートなどのリアル店舗がネット広告のプレイヤーとして頭角を現してきた頃から「Retail Media」という名称で再定義されるようになった。プライバシー保護の機運の高まりとともにファーストパーティーデータへのシフトが進んだこともリテールメディアの成長を後押しした。
●リテールメディアの形式
リテールメディアには、オンライン上の広告配信とリアル店舗上の広告配信がある。
オンサイト広告
小売アプリやECサイト内で表示するオンライン広告のこと。小売のオウンドメディア上での広告配信を指す。ECサイト内の検索キーワードに連動させることなどができる。
オフサイト広告
小売が保有する消費者データを活用して、SNSやYouTubeなどの外部の面でオンライン広告を配信するもの。
インストア広告
店舗内に設置してあるデジタルサイネージ広告(DOOH)などを指す。
●リテールメディアの広告主
広告主の予算の出所は大きく4つに分けられる。
メーカー
出店者
Amazonや楽天などのECモールの出店者が、自社商品を他社商品よりも目立たせるために利用する。
その他広告主
ECサイトや店舗には商品は置いていないが、商品に関連性の強い商材をプロモーションする広告主。ノンエンデミック広告とも呼ばれる。
●リテールメディアの提供者
EC事業者
Amazon、楽天、ZOZO、Yahoo!ショッピングなどがEC事業者によるリテールメディアの代表例。
有店舗事業者
セブン−イレブン、イオン、マツキヨココカラ&カンパニー、ドン・キホーテ(PPIH)などが有店舗事業者によるリテールメディアの代表例。
会員制事業者
一般的な呼称が無いためリテールメディアJAPANによる造語だが、データが正確でスティッキネス性が高い国民的な会員サービスを提供している事業者が展開するリテールメディア。コマースメディアと呼ぶベンダーもいる。ANA、JR東日本、chocoZAPなどが会員制事業者によるリテールメディアの代表例。
●なぜリテールメディアが注目されているのか
リテール(小売)にとって
小売業よりも広告業は利益率が高い。
小売業とは別の純粋な売上・利益増加施策である。
消費者の購買履歴や属性データ、検索履歴などのデータ資産を有効活用できる。
広告主(メーカー)にとって
自社では保有していない消費者データを利用して精緻なターゲティングを行ってブランディングや販促を行える。
クローズドループ測定によって広告施策に対して正確に効果測定ができる。
購入を検討しているタイミングで広告に接触させられる。
消費者にとって
パーソナライズされた広告を受け取れる。
ポイントやクーポンなどの経済的ベネフィットを享受できる場合もある。